雑用係兼理事長の日記

NPO法人スポーツ健康支援センターな日々


 健康診断の受診結果と問診の回答の内容から、保険者は保健指導の対象者かどうかを判断します(この基準については7月に記載)。そして保険者(健保組合、国保組合、共済組合等)の事業計画により決めた保健指導の対象者の基準により、市町村国保加入者であれば市町村国保より、組合健保加入者であれば組合健保より「受診券」なり「受診の案内」が対象者に送られます。

 そこで、対象者が希望すれば、申し込みをし、「保健指導」を受診することになります。保険者には実施の義務が法的に存在します。対象者は希望により保健指導を受けることになります。受診の実施方法、場所、日時については、保険者により違ってきます。受診の料金の自己負担の有無についても保険者ごとに違ってきます。


 保健指導では何をするのでしょうか。対象者が自分の健康状態を自覚し、生活習慣の改善に自主的に取り組めるように、食生活の改善や運動習慣を日常生活に取り入れられるようにサポートをします。対象者の方の「健康でいたい」「現在の生活習慣を改善したい」という思いを、専門職が対象者と一緒に考え、その具体化のために対象者の方が生活の中で「なにができるか」「なにをしたらよいか」「どうしたらできるか」「どの程度すればよいのか」と。
 その実施内容について、専門職それぞれのやり方で勝手に行うのではなく、国は保健指導として標準化ができる部分については、そのプロセス、保健指導として行う内容、頻度や方法等、保健指導プログラムとして標準化しています。その上で専門職の創意工夫により良質な保健指導になるようにと要望を示しています。
 実施にあたって「動機付け支援」「積極的支援」の2パターンに区分しております(「情報提供」は健診に付随する)。


 「動機付け支援」は生活習慣病のリスクが現れてきた人へのアドバイスとし、「積極的支援」は生活習慣病のリスクが重なってきた人には積極的に生活習慣の改善に取り組むアドバイスをおこなおうとするものです。 「動機付け支援」では、1回20分以上の個人面談、または、1グループ8名以下でのグループでの支援(健康教室)を専門職が対象者に実施します。その際、専門職にとっては、対象者本人がその気になってもらう聴き方なり、発話が大切になってきますが、基本は対象者との信頼関係の構築です。その上で、対象者が自分で問題を掘り下げ、自分自身で解決策を見つけだしていくよう、専門職が一緒に考えていくというスタンスが大切となります。
 面談の進め方の概略としては、以下のような進め方になります。


1)事前準備

・ 健診結果等の事前確認
・ 面談に適切な場の確保

2)面談に際して(インタビュー内容)

・ 自己紹介
・ 面談時間や目的を対象者に告げる
・ 対象者の同意を得る
・ アセスメント(対象者の健診結果の理解度や意欲を確認する)
・ 対象者の現在の生活習慣を振り返ってもらう
・ 生活習慣を改善することにメリットと現在の生活を続けることのデメリット、対象者の健康状態の確認する
・ 対象者の問題点の把握をする
・ 目標を達成できるための戦略を、対象者自身に考えてもらい、どのような生活習慣の改善に取り組むか、具体的な減量目標・行動目標を対象者に提示してもらう
・ いつから始めるのか、意思の確認をする

3)面談の記録をとる

 また、対象者だれしもが、積極的に目的を決め、取り組もうとしている訳ではありません。生活習慣を改善しようとする意欲には個人差があります。面談を円滑に進めるためには、この個人差を把握し質問や対応が必要になります。特定保健指導の面談の場ではこの「行動変容ステージモデル」が目安として多く使われています。


 「無関心期」であれば、「対象者の気持ちを聞く」ことを重視して対応する。「関心期」であれば、迷っている気持ちを理解し、リスクなどの情報を提供する。「準備期」であれば、やろうとする気持ちを褒め、行動目標・計画の設定をサポートする。「実行期」には、できたことを褒め、本人が前向きになれるよう、行動の継続をサポートする。「維持期」では、ある程度習慣化できていることから、実践の確認とモチーベションの維持のための対応をする。このように、ステージをも見極めたアドバイスを有効に提供し、生活習慣の改善を対象者の行動ステージの位置づけにより進めていくこととなっています。

 「積極的支援」では、初回の面談内容は「動機付け支援」とほとんど同じですが、具体的な目標設定が達成できるように、「行動計画」をつくり、継続的に面談なり、電話、手紙、E-Mailという手段を使い、対象者と関わることで、そのモチベーションの維持をサポートします。
 国では、「積極的支援」については、面談、電話、手紙、E-Mailという提供するサポートの仕方でポイントを設定しています。そして、合計ポイントが180ポイント以上でなければ、実施したことにならないとしています(サポートの仕方とそのポイントについては割愛)。
 また、「評価」をきちんと実施しようということで、対象者には初めての面談の時から6ヶ月以上経過後に、生活習慣や行動の変化をアンケートで確認することになっています。