雨の日となりました。
明日から大晦日までの4日間で…
放課後子ども教室の報告書を作成して…
元旦から5日間でドスケンの第3四半期の報告書を仕上げる計画です。
(あれ?年末年始の休みは…?)
それでは昨日の続きです。
◆◆◆幸せの缶詰◆◆◆
◆2 病室の時計
大阪はどうだ?と湘造に尋ねられ、だいぶ慣れてきたと優人は答えた。
事実、絶対に受け入れられないと思っていた関西弁にも順応していたことに改めて気付いた。
「仕事の方はどうなんだ?」
「うん、まあまあかな。」
久しぶりに会う父と子の会話なんて所詮こんなものなのだろう。
ところが、時計をちらっと見てから湘造が意外な質問をしてきたのだった。
「優人、お前…幸せか?」
「え?どうしたの?急に…」
優人の答えを待たずに湘造は続けた。
「入院ってものは本当に暇で、何かとあれこれ考えちまうもんなんだ。それで、最近幸せっていったい何なんだろうとふと考えるときがあるんだよ。」
「そうなの?」
優人はその言葉の後に「らしくないな。」と続けようと思ってやめた。
考えてみると自分の父親でありながら、「らしい」とか「らしくない」とか性格的なものはよくわかっていなかったことにハッとしてしまった。
少し間をおいてから「幸せって本人が決めることで、これがそうですってものじゃないと思うんだけど…」なかば苦し紛れにそう答えると…
「そうだよな。きっと…」
父は自分の子がそう答えるのを予期していたように微笑んだ。
そして湘造は、また時計をちらっと見た。
それは入院していて時間ならたっぷりありそうで…なのに実はあまり時間がないと言いたげな感覚を優人に思わせるそぶりであった。
そして「お前に渡したいものがあるんだ。」と湘造は言って枕の下から巾着袋を出して中から缶詰を取り出したのだった。
見たこともない青いラベルに「幸せの缶詰」と書かれていた。その下に…
たくさんの幸せが入っていますのでお試しください。
ただし、不幸な方しかご利用できません。
そんな注意書きが書かれていた。
「どうしたの?これ…」
「お前のじいさん…オレの親父から死ぬ間際に渡されたんだ。何も聞かされずに…」
そう言うか言わないかのうちに湘造はその缶詰のふたを思い切り開けようと力を入れたのだが、どうしても開かないようだった。
「優人、お前開けてみてくれねえか?」
「大丈夫なの?何か変なガスが入ってたりしない?」
手渡された缶詰は何か液体が入っているような重量感ではあった。
優人は思い切り力を込めて開けようとしたが、そのプルトップはピクリとも動かないのである。
湘造は微笑みながら、「良かった。お前も不幸ではないんだな。」と言った。
優人はなるほどと思い、「そうか。開かないようになっているんだ。」と言葉を返した。それは開けられなかった悔しさも少し混ざった投げやりな言い方に思えた。
湘造は、また時計をちらっと見て、ここからが本題と言わんばかりに真剣な顔で…
「実はな、最初はオレもそう思ってた。ところがだ…」
湘造は、ベットの上で伸ばしていた足を引きよせて胡坐をかいて話し出した。
面会終了の時間まで30分を切っていた。
つづく…
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