今日は本当に良い天気でした。
こんな日は日当たりの良い遊歩道とかを…
気ままに歩けたらとか…
桜川の匂橋の上で凧上げができたらとか…
そんなことを考えながら実際はずっと報告書を書いていました。
夕方アオの散歩に出かけて…
フットサル教室をやったら一日が終わっていました。
さて幸せの缶詰ですが…大晦日に完結させようかとも思いました。
しかし大晦日は今年一年の出来事を振り返りながらボォーっと日記を書きます。
なので明日30日で完結しますので…よろぴく♪
で…昨日からの続きです。
◆◆◆幸せの缶詰◆◆◆
◆4 幸せの缶詰
「オレもじいさんに渡されたときはふざけた缶詰だと思っていたから、事情を言わずに何気なくジョーにこの缶詰開けてくれねえか?何だか妙に硬くて…と、そう言って差し出した。
あいつは心ここにあらずといった感じで、手渡された缶詰を受け取ると何の疑いもなく開けようとした。
そして次の瞬間、プシュっと音がしてその缶詰のふたが開いたんだ。
見た感じあいつはさほど力を入れてる様子もなく…だ。」
「本当に同じものだったの?」
「ああ、オレが何度開けようとしてもさっきのお前みたいに開けられなかったから…」
「中身は…中身はどうなってたの?」
「ジョーは開けた瞬間に『何だ?これ…開けたとたんに軽くなったと思ったら中に何も入ってねえぞ。』そう言ってキョトンとしているオレに渡して帰って行ったんだ。確かに何も入っていなかった。本当に不思議だと思ったよ。
そしてジョーに幸せの缶詰なんて言わなくて良かったとそのときは思った。きっと気を悪くしただろうなと…。」
湘造は時計をまたチラッと見て話を続けた。面会終了の時間が近づいていた。
「世の中には不思議なことが確かにある。オレは生れて初めて気付かされた。それから数日後、あいつから電話があって、美野里ちゃんの病気が奇跡的に治ったと興奮して話していると思ったらもう次の瞬間は声になっていなかった。
医者も今の医学では考えられないと…だから奇跡というのは決して大げさではないと思って、オレもただただ良かったなとしか言うことができなかったんだ。
それからしばらくしてあいつが訪ねてきてボロボロ涙を流しながら世話になったと何度もオレに礼を言うんだ。
オレも心から良かったと思いつつ、あの缶詰のことが気になっていた。
そしてあのときと同じようにあいつが帰る間際に、「これ、開けてみてくれねえか?」と二本目の缶詰…つまりさっきの缶詰を差し出したんだ。
『また?』そう言ってあいつは缶詰を手に取って開けてみようとするのだけれど今度はまったく開く気配がないんだ。
『おかしいな。』そう言って缶詰のラベルを見ようとしたあいつから半ば奪い取るようにもぎとって『開かなければいいんだ。うん、いいんだよ。』とオレは言った。」
彼女の病気が治ったのは幸せの缶詰のおかげかどうかはわからない。ひょっとすると父も半信半疑のままかもしれないと優人は思った。しかし、今までの話に偽りが無いことだけは確信があった。
最終回へつづく…
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