今日でめでたく…
年末年始のやることリスト全て消えました。
明日はサッカー少年団の初蹴りです。
と言うことで…(だから、どういうことだよ!?)
昨日からの短編の続きなのです。
第2章 月と太陽
柏を過ぎた辺りで送信してみた。
「月さん、こんばんは。」
出だしはいつもこんな感じだった。特に用件があるわけでもない。
「太陽Sun、こんばんは。久しぶり(*^_^*)」
我孫子のホームに電車が入るころ月から返事が来た。いつもと変わらず、太陽「さん」ではなく、「Sun」となっている。太陽は前回のやり取りがいつだったか思い出そうとしたが、いつも他愛もない話題ばかりで記憶があやふやすぎて思い出せない。
たぶん一ヶ月ぶりくらいかなと漠然と思った。
「休みのところごめん。ちょっと退屈でさ。」
太陽は打ち終わると送信をクリックして、また向かいの窓からぼんやりと外を眺めた。外は真っ暗で窓に自分の姿が写り込み、向かいに座っている女性の隣に自分が座っているように見えた。
月 「いいの、いいの。休みじゃないし…」
太陽「え?今日、仕事なの?」
月 「休日出勤。年末だから…ね^_^;」
太陽「ひょっとして仕事中?」
月 「もう終わった。今、帰る途中」
太陽「ごめん。運転中だった?」
月 「今、電車の中。終点まで30分くらい大丈夫よ。」
そんなことを繰り返しているうちに太陽は不思議なことに気付いた。
さっきから向かいに座っている女性が、太陽が月にメッセを送信した直後にスマホをバッグから取り出して、ちょっと何かを打ち込むとまたバッグにスマホを戻していた。
そして彼女がバッグにスマホを戻したとほぼ同時に太陽に月からメッセが届いていたのだった。
まさか…そんなはずはないよな。
でも、電車の中で終点の土浦まではあと30分くらいだし…。いやいや、終点が土浦でなければ日本中にそんな状況はいくらでもあるか。などなど妄想に近い思考がグルグルと太陽の頭の中を回り出した。
そして、太陽は彼女に気付かれないように注意深く観察してみようと考えた。
「休日出勤お疲れさま(*^_^*)」と送ってみると、やっぱり彼女はバッグからスマホを取り出して、今度は少し考えた様子で打ち込んでからバッグには入れずに膝の上にスマホを置いた。
「疲れた。おなか減ったなあ。」
太陽は女子のこの言葉に弱かった。
それは、満たされている者よりも満たされていない者への愛着というのか、少なくともこの言葉は満たされていないことを単刀直入に表しているからなのかもしれない。
太陽「今、何が食べたい?」
月 「ラーメンかな(*^_^*)」
太陽「何ラーメン?」
月 「普通の醤油ラーメン」
そんな月とのやり取りもドンピシャのタイミングで向かいの彼女の動作と合っていた。
太陽の妄想は膨らみ続け、彼女が月である可能性は十分あると勝手に思い込んでいた。
何か確信を得るための手段はないものかといろいろ考えてみた。例えば「今日はどんな服装?」と聞けばどうだろうか?しかし、いきなりそんなことを聞いたら怪しい奴と思われるに違いない。
思い切って「乗っている電車って常磐線じゃない?」と聞いてみるか?
そんなことを考えているうちに電車は牛久駅を発車し、土浦まであと10分ちょっととなってしまい、太陽は意味もなく焦り出していた。
明日に続くんだな。これが…
● 報告書の作成