雑用係兼理事長の日記

NPO法人スポーツ健康支援センターな日々


明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。


元旦とは言っても…
恐ろしいほどいつもと変わらぬ一日でした。
強いて言えばお餅を食べたくらいで…


それでは短編の続きで…
年を跨いでの掲載となりました。
そう書くと長編のような錯覚に陥りますが…
スタートが大晦日だっただけの話です (-。-)y-゜゜゜



写心第2話 御幸ヶ原


 ちょっと気まずい雰囲気になってきたことを梢は察知して話題を変えた。

「ねえ、カラオケってやったことある?」
「ああ、2回くらい飲み会で歌ったかなあ。」
「今ね、すごいんだよ。カラオケボックスってお店があってさ。」
「それ、知ってる。行ったことあるの?」
「うん。曲数がすごいの。」
「へえ、そうなんだ?」
「今度、行こうよ。私、ユーミン歌ってあげる。」
「歌ってあげるって…歌手か?」


 そんな会話をしながら二人はベンチから立ち上がって頂上を目指し、歩き出した。
 御幸ヶ原から頂上まではたいした距離ではないのだが、斜面は少し急になり、二人の口数も減っていった。

「響介はどうなの?」
「どうなのって何が?」
「結婚。」
「聞くか?それを…」
「何かさあ、付き合ってる人のことはお互いにいろいろ話したりしたけど…この年になって結婚相手に変わってあまり話さなくなったと思わない?」


 言われてみるとそうかもしれないが、そもそも付き合っている彼女がここ数年いない響介にとっては話さなくなったも何もないのである。
 響介の話はそこで途絶えて、登頂してすぐにまた二人は御幸ヶ原に戻った。

「ねえ、写真撮ってあげるよ。」
「急に何?いいよ。オレは…」


 そんな響介の言葉にお構いなしに梢はバッグの中からカメラを取り出したのだが、どこかで見覚えのあるカメラだ。

「あっ!そのカメラ!?」響介は思わず大きな声で指さした。
「そう。この前、ここに来たとき響介が買ってきたやつ。」


 前回、梢が最初の結婚を響介に告げたとき、響介が梢の写真を記念に撮ると言って御幸ヶ原で買ったインスタントカメラだった。
 インスタントカメラとはポラロイドに代表されるその場で現像してその場で写真が見られるもので使い捨てのものが出回っていた。


「まだ、持っていたんだ?あのとき梢の写真を撮ったのに自分だけ見てそのまま写真とそのカメラを持ってっちゃったんだよな。」


 響介はそのカメラを見たとたん当時のことを鮮明に思い出していた。
 使い捨てのポラロイドを買おうと土産屋の方に行くとポツンと老婆がポラロイドカメラだけを売っていて、急いでいた響介は何の疑いもなくそれを買ったのだったが、よく見ると見たこともないデザインのカメラだった。不思議なことに振り返るともうそこに老婆の姿はなかったのだった。


「今の気持ちを込めて笑顔を作れよ。」
そう言ってあのとき土浦方面をバックに梢の写真を撮ったのだが、「私が最初に見る。」と言って梢がポラロイドカメラごと響介から奪って数分経ってから自分の写真を確認したとたん驚いた顔をして写真をポケットにしまい込んでしまったのだ。


 そのときは写真の出来があまりにも悪くて見せたくなかったんだろうと思っていた。実際、響介が梢にカメラを向けるとシャッターが勝手に押されてしまったのだ。そんな細かな記憶まで甦ってきた。



今日はここまでとします (*^^*)
明日の第3話は短めで…
明後日の第4話が最終話で長めかも…
おやすみなさい (-_-)zzz


● 報告書の作成