あるとき、気がつくと森の中で報告書を書いていました。
穏やかな日差しとは裏腹にいっこうに進まない報告書の作成にいささかジレンマを感じつつ…
そのとき一陣の風が吹いて報告書が飛ばされてしまったのです。
ひらひらと舞う報告書を追いかけると森の奥にきれいな泉があり、どうやら報告書はその中に…
なかば諦めかけているとその泉の中からどういうわけか泉谷しげるにそっくりな神様が現れたのです。
泉谷しげる神様は手に書類を持っていて僕にこう問いかけました。
「お前の落した報告書はこの完成した報告書か?」
目を凝らして見ると、それは表紙に法人印まで押してある完成された報告書でした!
お〜、ラッキー!…って、待てよ…?
ふ、ふ、ふ…甘いな、神様!お見通しだぜ!
これって金の斧と銀の斧の話じゃん!
僕は不敵な笑みを浮かべながら…
「いいえ。私の落したのは決算書の費目整理も自己評価表もまだまったく手をつけていない粗末な報告書でございます。」
やった!こうして正直に言えば、最後には完成した報告書ももらえるに違いない!そう思った瞬間、泉谷神様は…
「えっ?違うの?なんだよ、せっかく書いてやったのに…」
そう言って泉の中に消えて行き…二度と浮かんでは来ませんでした。
そこで夢から覚めました。
机の上には倒してしまったアイスコーヒーのタンブラーと琥珀色にびしょぬれになった粗末な報告書があったとさ…めでたし、めでたし。
どうでもいいけど…
なんであのオッサンにこんな名曲が書けてしまったのか…いまだに謎です。