雑用係兼理事長の日記

NPO法人スポーツ健康支援センターな日々


40歳以上の男性の2人に1人がメタボリックシンドローム又はその予備軍と言われています。


10人に1人とかならその人の生活習慣が悪いと言えるでしょうが…


2人に1人ともなるともう生活習慣ではなく社会が悪いということにならないのかな〜。

ちなみに女性の場合は5人に1人なんだけどこの差はどこからくるんだろう?


ということで久しぶりに文献紹介ですが…

●日本人の死亡率・罹患率における性差


 日本人の平均寿命は平成16年で、男性78.64歳、女性85.59歳と男女の平均寿命には、ほぼ7歳の差がある。
 男性は、事故、自殺、肝硬変、がんによる死亡率が女性に比べ高い。これらの死因による死亡率の男女差は年々拡大しており、中でも、がんにおける死亡率の男女差が年々拡大していることから、男性におけるがん死亡をいかにして減少させるかは、男性医療の中心的な問題である。女性では、心疾患、脳血管疾患の比率が高く、65歳以上では心疾患と脳卒中が1位、2位となる。


 どの先進国をみても、女性の平均寿命は男性に比べ長いが高齢者におけるQOLという点からみると、女性が日常の生活において、多くの健康上の不安を抱えて生きていることも明白である。自立神経失調症、白内障、関節リウマチ、関節症、肩こり症、骨粗しょう症、など、直接には死に至らずとも、QOLを著しく低下させる疾病が圧倒的に女性に多い。これには、加齢の過程でのホルモンの働きが大きく作用している。


●ホルモン補充療法(HRT)


 女性では、閉経とともに性ホルモンの急激な低下が起こる。最近まで低下したホルモンを補充するというホルモン補充療法(HRT)に大きな期待がかけられていた。しかし、2002年に報告された米国における、閉経後女性のQOLに関する大規模前向き臨床試験の結果では、大腿骨頚部骨折、大腸がんに対する減少効果は認められたものの、虚血性心疾患、脳卒中への予防効果は認められず、栓塞症、乳がんの発症増加が認められた。そのため、現時点でのHRTの適応は閉経前後の急性期障害に限られている。



●体力の性差を踏まえた運動


 意図的に運動を実施する体育やスポーツトレーニングにおいては、個人の身体的特性に合ったものでなければ効果が少ないだけでなく安全性も確保されない。体力科学的にみて、男女間には、個人差では対応できない相違があり、常にそのことは考慮されなくてはならない。
 健康づくりにおいては、性染色体による性差、ゲノミック・インプリティングによる性差、遺伝子による性差、?ホルモンによる性差、そのほかの身体的(体力科学的)要因による性差などの生物学的性差に加え、さらに脳の性差とそれがもたらすパターンの性差、社会的文化的な原因による性差など、複雑に絡み合った因子が、健康にどのように関与しているかを明らかにしていく作業が必要で、その作業が健康寿命の延命につながる。