昨日からの続きで…
「本当にすまないと思う。」
(って何のこっちゃ?)
今週はダービーということですが、研究論文については普段と変わりはありません。
実は何年か前の暇なとき(今も?)に何篇か競馬小説を書きました。
その中の一篇で浅田次郎の「鉄道員」(ぽっぽや)みたいな感じで…と書いたものです。
報告書や決算書などを眉間にしわを寄せながら書いていると…たまに思いっきりフィクションを書きたくなる衝動にかられるんですね。
紛れもなく個人的趣味の世界ですので…スルーしちゃってください。
10日くらいに分けて連載しますが…(そんなにかよ!?)
白柵の下の刈られない芝
皇帝
線路に近いその店は駅からも近いことは近いのだが電車の音がしないとき辺りはひっそりと静まり返っている。
場末のスナック・・・まさにその言葉がピッタリである。
柴崎はそのスナック「ひょうたん」のオーナーでありマスターで5年ほどになるだろうか・・・
その昔、彼には野心があり小さいながらも貿易関係の会社の社長であったが幹部数名から裏切られ会社は倒産に追い込まれた。そして、直後に一家離散ということになる。
やっとの思いでこの店を開店させたのであるが5年経った今・・・借金は膨れ上がり60歳を過ぎた彼に返せる当てもない。死ぬことさえ考えることもある。
「もう潮時か・・・」
そう思いながらここ最近は誰も来ない店のカウンターを拭きながら過ごす毎日である。
師走に入り、年も押し迫ったある冬の日の晩、ターコイズブルーに塗られたその店の扉が珍しく開いておそらく30代後半のほっそりとした女性が入ってきた。
「まだ、よろしいですか?」
「どうぞ。」
「お酒は飲まないのですが…何か食べるものはありますか?」
柴崎は一瞬言葉が詰まった。
メニューにあるのはおつまみ程度のものでここのところそれすらも仕込みを怠っていた。
しかし、柴崎はこの女性になぜか不思議な懐かしさを感じたのと…それよりも何よりも今夜は話し相手が無性に欲しかった。
「自分もこれから晩飯にしようかと思っていました。もしよろしければご一緒に如何ですか?もちろん御代はいただきません。」
柴崎はカウンターの下からインスタントラーメンを取り出しながら言った。
彼女はふっと微笑みながらカウンターの席に腰かけた。
その日の天気予報では深夜から雪になると言っていたが彼女が開けた扉の外はまだ雪にはなっていない雨が降っていた。
寒い夜には違いないが彼女が入ってきた店の中はさっきよりもほんの少し暖かくなった気がした。
かなりつづく…
●健康・体力相談(1件)
●健康ボウリング教室新規入会者受付(1件)
●商工会議所との打ち合わせ